2016年 07月 24日
親の顔を見てしまった
はじめまして。今回出演させて頂く事になりました、辻川ちかよと申します。
さて、「親の顔が見たい」、順調に稽古中です。
どんなにトリッキーな人に会っても「親の顔が見たい」とは思わない私です。
私自身、歳も歳だからでしょうか?
色々な方との出会いがありますが、親の所為には出来ない、その人個人の人生の歩み方の方に興味が行ってしまうのかもしれません。
なので、「親の顔を見てしまった」経験を一つ。
昔、こんな事がありました。
まぁまぁ混んでいる電車の中、知的障害を持った男子が大きな声を出しました。
彼の母親は隣に立っていました。
その子を見ていた女子高生がコソコソクスクスとした途端、母親が叫びました。
電車の車両中に響く声で。
「…何笑ってんねん⁈こっちはな、地獄やねんぞ!」
腰が砕けそうな位ショックでした。
我が子の前で。地獄だと叫ぶ母親。
でも、簡単に否定出来ない生活があるのだと思います。
10年以上経っていますが、忘れられない、飲み込め切れない出来事でした。
「個人」という歴史は、親子間でも相違はあり、ズレてくるものだと思います。
それが積もり積もっての個性。
親の「つもり」と、子供の「現実」。
親の子供への思いはそれぞれで、それは虚構より現実の方がドラマティックです。
このお芝居にはトリッキーな子供は出てきません。
もしかすると身近に起こりうる、一つの事件に関わる子供達の親達が集まって、親達のエゴがぶつかり合う、学校の一室で起こる事件です。
一つの事件に、取巻く大人達が勝手に膨大させる。
その心情の変化が目まぐるしく、まさにドラマなのだと思います。
お芝居という虚構ではありますが、現実を超えるドラマティックをお届け出来ますよう、一同稽古に励んでおります。
ぎりぎりの線を描く「親の顔がみたい」。
是非、色々な視点からご覧下さい。

辻川ちかよ
by spaceu
| 2016-07-24 13:28